当院は、脊椎手術や人工関節置換術、骨折手術など整形外科を中心に診療を行っている一般病院です。その整形外科の患者さんは、骨粗鬆症を患っている方も多く、骨粗鬆症が引き起こす骨折は、高齢者の健康寿命を短くし、医療経済にも大きな負担をかけると言われています。また、島根県は骨粗鬆症検診率が0.3%(全国平均4.5%)で全国ワースト1位、要介護率4位という結果から、当院は「TAMATSUKU RE:BONE」という骨粗しょう症・転倒予防チームを2018年7月に立ち上げました。チーム名はreborn【再生】 RE:BONE【骨折予防】 ribbon【結びつき】をキーワードに、「身体・生活を改善し、生き生きとした生活が送れるようにサポートしていこう」という意味を込めたことが由来です。メンバーは、医師、歯科口腔外科医師、看護師、薬剤師、理学・作業療法士、管理栄養士、臨床検査技師、診療放射線技師、事務員等多職種で構成し、それぞれの専門性を発揮しながらサポートしています。チームは、骨粗鬆症マネジャーが中心となって活動しています。活動は、まず、骨折による全ての入院患者さんを対象としたカンファレンス(再骨折のリスク評価や検査・治療の実施状況チェック、治療介入について医師への提案など)を行い、病棟看護師と連携した生活・退院指導を行っています。2020年4月から「骨粗しょう症外来」を新設し、骨粗鬆症マネジャーの看護師が中心となり、問診、生活・服薬・栄養・運動指導を実施しています。また、同年5月から「知っておきたい骨粗しょう症」を地元新聞に連載し、一般市民に対しても啓発活動を行いました。このような活動により、国際骨粗鬆症財団が行う二次骨折予防の取組に対する認定制度において2022年5月、当院が金賞を取得することができました。2023年11月現在日本の金賞施設数は17施設で、島根県では当院のみとなっています。私たちは、この結果がゴールではなくこの取り組みをコツコツと継続していくことが重要と考えます。一人でも多くの患者さんの骨折を防ぎ、健康寿命を延伸できるよう多職種チームで骨折予防に取り組んでいきたいと思います。

坪内

独立行政法人 地域医療機能推進機構玉造病院
看護部長 
坪内純子